ラブぜろ? 十七話(最終話)

 その日の夜、瞬は遅くまで起きて浩輔を待ちわびていた。
 話があるから、と電話で早く帰宅するよう連絡したのだが、直接浩輔に言えなかったので届いているか不安だ。その予想を的中させるかのように、時刻はすでに深夜一時。レフィンはすでに眠っているし、普通なら皆寝静まっている時分だ。
 うつらうつらと現実と夢の境を彷徨っていた瞬は、開かれるドアの音に意識を呼び覚ます。浩輔が帰ってきたようだ。
 浩輔は瞬を見て眉をひそめたが、やがて思い至ったように謝罪をしてくる。

「ごめん瞬、連絡は届いていたんだけど仕事が終わらなくてこんな時間になっちゃった。まさか起きてまで待っているとは思わなかったよ。本当にごめん」

 父親として威厳も減ったくれもない言動であるが、一つ一つに浩輔の誠実さが伺える。人の良さで言えば浩輔は文句なしに一級品だ。ただ、生活とそれが比例しているとは限らないだけだ。

「別にいいよ。それよか、いきなりなんだけど話があるんだ」

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ラブぜろ? 十六話

 翌日、筋肉痛に苛まれながら朝食を作り食べ終えた瞬は、テーブルに置かれた手紙の指示に従って恋の家へ訪れていた。
 やって来たのは瞬とレフィンが最後だったようで、リビングには恋と蛇神、片霧姉弟といった今回の主だった関係者が一同に揃っている。
 恋の隣のソファーへ腰を沈めたのを見計らって、彼女は静かに語り出す。瞬は唾をごくりと飲み込み、息を潜めた。

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ラブぜろ? 十五話

「そこの離界人、せっちょんを解放して自首することをお勧めする。これ以上抵抗は、お互いに疲れるだけとは思わないか?」

 今日の全ての始まり、スタート地点たる愛和町郊外の森林地帯。その中央に座する湖の広場で事件は佳境を迎えていた。

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ラブぜろ? 十四話

 目を覚ましたのは、木の上だった。
 夕日を浴びて太目の枝に腰を下ろした女性は、獲物を狙う狩人のような目で周囲を見張
っている。瞬はというと、その膝を枕にして今まで眠っていたようだ。
 慌てて離れるが、木の上だったため枝からずり落ちてしまう。受身なんて取る間もなく、真っ逆さまに地面へ落下する。かなり良い音がした。
 鈍痛に顔をしかめる横に、音も立てずに女性が降り立った。

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ラブぜろ? 十三話

 それは、前触れもなく告げられた。
朝食を作るべく早起きした瞬を待っていたのは、約一月振りにまともに見る父、片乃瀬浩輔(かたのせこうすけ)だった。
 中肉中背で、常に口元を緩ませる顔は整っているとは言えないが、誠実そうな印象を与える。今年三十八にも関わらず白髪一つない黒髪なのは遺伝かマイペースにしてストレスを感じない温厚な性格ゆえか。
 ともあれ、瞬にとって朝は寝ている浩輔が起きているのは驚愕に値する。
 ぎょっとしながら恋に連絡すると、すでにレフィンは避難済みとのこと。久しぶりに取る父親との時間なのだが、瞬はどこか釈然としない気持ちを抱いていた。

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鳩

Author:鳩
ついにブログ開設です。
オリジナル小説のほか、東方projectのSSを主に書いています。
最近はジャンル問わずの投稿小説サイトであるArcadiaや、東方SSサイトの大御所、Coolier-クーリエ-東方創想話で「鳩」名義で活動中。森近霖之助を主役に書いてます。
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東方・森近霖之助<いらっしゃい。折角だから、訪問記録をつけさせてもらうよ。


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